コラーゲンファミリーは細胞外マトリクスを構成するタンパク質の一群であり、多くの生物が有している。その中でもⅠ型コラーゲンは特に体組織を構成する主要なコラーゲンタンパク質として知られている。 2018年度はこのⅠ型コラーゲンをコードする遺伝子配列を、分子生物学的手法と情報学的手法の両方を使ってゲノム内から集中的に探索した。この結果、複数の種から新しくⅠ型コラーゲンの相同領域を同定することができた。 分子生物学的解析のために幅広い種で保存されている領域にプライマーを設計して、近縁種のゲノムをテンプレートとしてPCRを実施したが、期待した増幅産物は得られなかった。既知配列と情報学的手法で得られた配列の系統解析を実施した所、系統関係とは必ずしも一致しない特異なバリエーションが多く見られ、改めてコラーゲンのコード領域が特異な進化を辿っていることが推察された。 これらのコラーゲン配列をデータベースにまとめ、バイオサイエンスデータベースセンターから新しく公開を行った。この変異情報を利用して古代タンパク質や動物性遺物の種同定のためのリファレンスとなることを期待し、今後もデータベースの拡張を実施していく予定とした。
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