本研究では、インスリン分泌に関与するグルタミン酸受容体活性化機構を明らかにすることを目的とした。膵β細胞株MIN6におけるグルタミン酸受容体NMDA受容体サブユニット発現量を比較した結果、NR1およびNR2Dサブユニットの発現が高かった。しかし、NR2C/2D特異的遮断薬を用いてもインスリン分泌は変化しなかった。一方、NR2B特異的遮断薬によってインスリン分泌量は増加し、その増加は、脱リン酸化阻害剤によって抑制された。以上の結果、NMDA受容体NR2Bサブユニットを介してインスリン分泌が亢進することが明らかとなり、その分泌過程にタンパク質リン酸化が関与する可能性が示唆された。
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