本研究では,海崖とみなした石垣の調査に基づき「波食棚は,波食作用が大きな役割を果たして生成すること,そして波食棚の幅が広くなると,風化による崖表面の強度低下がより顕著となり,発達していくこと」を示唆する実証的結果が得られた.この成果は,従来の考えとは異なり,波食棚の生成・発達には波食作用が不可欠な要素で,波食棚が発達するにつれて風化の影響が強くなるプロセスを提唱するものである.さらに野外波食棚の形成高度に関し,野外データの収集により,既存の実験式の検証から新たな経験式を提示した.これらの知見は,海岸景勝地にみられる地形発達プロセスの理解をより深め,ジオツーリズムの振興にも貢献できる.
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