本研究では、向社会性(信頼)・競争選好とオキシトシンの関係について分析した。192名の男性参加者を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験で、オキシトシンが信頼・競争選好を緩和するかどうか、また自閉症傾向によってその効果が異なるのかを調べた。その結果、オキシトシンと競争選好との間には統計的に有意な関係が見られなかったが、自閉症の特徴を持たない参加者では、オキシトシンが競争選好を低下させ、自閉症の特徴を持つ参加者では競争選好を増強させるという示唆的なパターンが観察された。また、オキシトシンは信頼度を高めるがその程度は、自閉症の特徴を持たない参加者で強かった。
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