研究課題/領域番号 |
17K18581
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
東島 仁 山口大学, 国際総合科学部, 講師 (80579326)
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研究分担者 |
和田濱 裕之 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (00765513)
丸 祐一 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (10466708)
井上 悠輔 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (30378658)
三成 寿作 京都大学, iPS細胞研究所, 特定准教授 (60635332)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 責任ある研究・イノベーション / 患者・市民参画 / 対話 |
研究実績の概要 |
先端医療の研究開発における「疾患当事者の参画」は、研究の意義や妥当性、受容度等を高める上での有用性が期待され、特に近年、欧州や米国を中心に注力され、様々な取組が進んでいる。そのような状況を受け、本研究では、先端医療の研究開発への積極的な投資を行う日本を対象に、科学技術と社会の良好で持続可能な関係を目指す「責任ある研究・イノベーション」の観点から、広義の疾患当事者並びに市民の研究参画の現状と課題点の分析を行うこと、それらを踏まえた試行と評価を通じて国内状況に適した研究参画手法を検討することを目指している。本年度は、1)英国や欧州等の海外における研究参画の取組について定義の整理と現状の調査を行って学会等で発表し、2)国内における参画の現状と比較検討する中で、3)国内ではどのような参画あるいは参画の下地の醸成が望まれるのかを考察した。その一部を反映した参画手法を検討し、2種の試行的な研究者―患者・市民間の対話「「聞イテミル・考エテミル!?がん研究の今と未来:ゲノムデータの共有ってなんのため?」」や小型対話企画を開催した。 国内における研究への患者・市民参画は、先行する米国や英国等と比べると認識されておらず、実践面では小規模な試みが大半であり、今後の展開が期待される。ただし先行する各国における研究への患者・市民参画の取組は、当該国の患者・市民・研究者の関係を深く反映した形で進んでいる。責任ある研究・イノベーションの実現という観点では、そのような歴史的背景を踏まえ、国内に適した手法やあり方を検討し、実践していく必要性が改めて示唆された。なお3)の結果については、効果並びに手法の妥当性の両面から、論文化に向けて内容検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外動向の動きが激しいため、特に研究への市民・患者参画が盛んな英国を中心に、文献化された動向並びに組織としての取組等の調査を進めることとし、大まかな状況は把握できた。次年度の計画に合わせて、今後、必要な情報を適宜収集する。国内の現状については概要が把握でき、当初は30年度実施予定であった試行についても複数回試みることができた。評価手法については、結果を踏まえて現在分析を行っている段階である。これらを踏まえ、全体として、おおむね当初の計画通りであると考える。
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今後の研究の推進方策 |
29年度の結果を踏まえ、研究への市民・患者参画の理念面の整理を目指し、国内における歴史的背景に着目した分析と検討を、文献調査並びにメンバー間の議論を通して深めていく予定である。合わせて、研究への患者・市民参画の手法面についての検討も進める。ただし先行する各国と国内の状況は大きく異なっているため、検討すべき事項は多い。29年度の試行結果を踏まえたさらなる試行を重ね、それらの手法を当プロジェクト主催企画以外の場、そして他の研究領域や疾患等に応用できる形にすべく検討を進める予定である。29年度は学会発表や講演を通じた議論が中心であったが、今後は、成果を学術論文やウェブサイト等、アクセスしやすく参照しやすい形にする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部分担者の海外出張が延期されたため。研究機関や組織等と共同開催した大型企画において,会場費や謝金等が不要であったため。前者は当該分担者の次年度出張に、後者は次年度開催企画の講師謝金と旅費に充てる。
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