研究課題/領域番号 |
17K18647
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
間瀬 茂夫 広島大学, 教育学研究科, 教授 (90274274)
|
研究分担者 |
高旗 浩志 岡山大学, 教師教育開発センター, 准教授 (20284135)
森田 愛子 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (20403909)
米沢 崇 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (20569222)
山崎 敬人 広島大学, 教育学研究科, 教授 (40284145)
草原 和博 広島大学, 教育学研究科, 教授 (40294269)
吉田 成章 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (70514313)
藤中 透 広島大学, 教育学研究科, 教授 (90190058)
竹下 俊治 広島大学, 教育学研究科, 教授 (90236456)
|
研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
|
キーワード | 教師教育 / 総合大学 / 教員養成 / 教職実践演習 / ポートフォリオ評価 / 専門的知識 / アイデンティティ |
研究実績の概要 |
初年度は,次の二つの課題に取り組んだ。1)総合大学と教員養成学部における教職カリキュラムとポートフォリオ評価の実態について、調査を通して問題点を明らかにする。2)総合大学におけるポートフォリオ評価を軸とした教職カリキュラムのモデルを再構築する。 具体的には,1)に関しては,国内と国外において,調査を行った。まず,国内に関しては,総合大学である二つの有力大学(慶應大学と京都大学)において調査を実施した。慶應大学については,前年度に行ったeポートフォリオに関するインタビュー調査のまとめを行った。また,ポートフォリオ評価の研究に関して中心的な役割を果たしてきた京都大学については,同大学の「教職実践演習」について授業観察を行うとともに,教職カリキュラムにおけるポートフォリオ評価の取り組みについて実地調査およびインタビュー調査を行った。eポートフォリオとしての取り組みはなかったが,実物ポートフォリオを活用することで,学生の個別的な教育体験や学習経験についてポートフォリオを通して他者に説明することを中心とした教育がなされていた。 国外に関しては,ドイツのライプツィヒ大学において,教職カリキュラムにおけるポートフォリオ評価の取り組みについて調査を行った。特に,1,2年次の学校における実地学習において,実物ポートフォリオによる取り組みが見られた。学校や教師を研究対象として見る学習において,ポートフォリオが活用されていた。eポートフォリオについては,取り組みがなされていなかった。 これらの調査をもとに,2)に関して,ポートフォリオ評価において,学習者である学生にとってポートフォリオが持つ本質的な機能をとらえ直すことができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
教員養成カリキュラムにおけるポートフォリオ評価の位置づけについては,検討が進んだ。しかし,カリキュラムにおけるポートフォリオ評価の本質的な意味や意義の検討結果をeポートフォリオのシステムの構造と結びつけて検討することに困難があった。教育内容やカリキュラムを中心とした検討にとどまった。 また,そうした両者を関連づけた検討の前提として,ウェブ・システムを活用したeポートフォリオに関して,授業観察を行った京都大学がeポートフォリオを運用していなかったこともあり,各大学におけるeポートフォリオの開発および運用状況について十分に調査を行うことができていないのも現状である。 広島大学内においても,ウェブ・システムの管理・運用部門との連携について,申し入れを行い,受け入れを得たところにとどまり,その後の連携を十分に進めることができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度には,次の三つのことを関連させて研究を行う必要がある。まず,学内において,システム部門との連携を強める。現状のポートフォリオにおいて実物を用いて行っているワークシート等の作業について,ウェブと連携して行うためのシステム上の課題を明確にし,システムの修正を行う必要がある。 また,総合大学の中で教員養成にポートフォリオを活用している大学・学部に対する調査を進めるとともに評価を行い,その中で多くの大学のモデルになるシステムの構造を明らかにする必要がある。 さらには,教員養成におけるポートフォリオの本質的な機能について,eポートフォリオの果たす機能と,実物ポートフォリオの果たす機能を明確にし,どのように関連させるか,そのためのウェブ・システム上の課題は何か,どのように解決できるかについて,広島大学をケースとして検討を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
カリキュラムにおけるポートフォリオ評価の本質的な意味や意義の検討結果をeポートフォリオのシステムの構造と結びつけて検討することに困難があった。教育内容やカリキュラムを中心とした検討にとどまった。また,ウェブ・システムを活用したeポートフォリオに関して,各大学におけるeポートフォリオの開発および運用状況について十分に調査を行うことができなかった。広島大学内においても,ウェブ・システムの管理・運用部門との連携について,申し入れを行い,受け入れを得たところにとどまり,その後の連携を十分に進めることができなかった。 最終年度には,次の二つのことを関連させて研究を行うなかで,保留した経費を使用する。まず,学内において,システム部門との連携を強める。現状のポートフォリオにおいて実物を用いて行っているワークシート等の作業について,ウェブと連携して行うためのシステム上の課題を明確にし,システムの修正を行う必要がある。その際に,保留した経費を使用する。 次に,教員養成におけるポートフォリオの本質的な機能について,eポートフォリオの果たす機能と,実物ポートフォリオの果たす機能を明確にし,どのように関連させるか,そのためのウェブ・システム上の課題は何か,どのように解決できるかについて,広島大学をケースとして検討を行うとともに,システムの開発を行う。そのために,保留した経費を使用する。
|