血液はたくさんの柔らかい血球細胞が分散した溶液である。このような溶液の流動性は単純な粘性流体とは大きく異なる。本研究では、マイクロ流路と呼ばれる、毛細血管と同じくらい細い管を用いた実験を行い、個々の赤血球が流れの中で作る空間パターンを調べた。その結果、赤血球の密度(ヘマトクリットとも呼ばれる、血液中の赤血球体積分率)が生体内と同程度の条件において、赤血球周囲に生じる流れにより赤血球の撹拌が激しくなり、また特徴的な速度相関の空間構造をつくることが実証された。さらに高密度では、密なパッキングによりこの空間構造が消失することもわかった。
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