研究課題
前年度の研究により、CHIME年代測定及びU-Pb同位体年代測定で年代が既知のモナザイト試料を用い、現有の電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)で分析領域が1ミクロン以下になる条件でCHIME年代測定を行うと既知の年代とは大きく異なる年代となることが明らかになっている。モンテカルロシミュレーションから、表面損傷を受けている領域を分析したため、正しい年代が得られていない可能性が示唆されている。この仮説が正しいか検証するため、分析条件を変化させながらCHIME年代測定を行ったところ、X線発生領域の深さが浅くなるにつれ年代が既知の値とずれていくことが明らかになった。さらに、鉱物試料を透過電子顕微鏡で観察したところ、表面からおおむね数十nmの深さまで転移が見られ、一部は1ミクロンまで達していることが明らかになった。これらのことから、サブミクロン年代測定が可能な分析条件では、通常のダイヤモンドでは鏡面研磨によって損傷している部位を測定しているという仮定が正しいことが示された。そこで、コロイダルシリカを用いたchemical polishを試みた。処理時間は12時間である。その結果、若干の改善は見られたものの、既知の年代とは異なった値が得られた。この原因として、(1)モナザイトではコロイダルシリカによるchemical polishは有効ではないこと、(2)12時間の処理では不十分で、長時間の処理が必要になること、(3)モナザイトのみコーティングの影響を受けていることの3つの可能性がある。(1)については酸処理により表面を溶かすことで解決できる可能性がある。(2)についてはより長時間のコロイダルシリカ処理で解決できる。しかし、(3)については市販のEPMAでは現在有効な解決方法がない。閃ウラン鉱や方トリウム鉱とモナザイトでこのような差が生じる原因は不明である。
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Journal of Asian Earth Sciences
巻: 192 ページ: 104289~104289
10.1016/j.jseaes.2020.104289
Journal of Mineralogical and Petrological Sciences
巻: 115 ページ: in press