研究課題
挑戦的研究(萌芽)
単体元素の電子供与能として定義される電気陰性度(electronegativity)はあらゆる材料物性と密接に関連し、材料科学の幅広い研究領域にて成功を収めてきた極めて重要な指標である。本研究では、独自に提唱する評価手法を用い、この電気陰性度の適用範囲を多原子イオンである錯イオンまで合理的に拡張し、鉄やニッケルなどの遷移金属およびホウ素などの非遷移金属を含む錯体水素化物の材料物性を体系的に理解することにつながる新たな指標を提案した。
材料工学
遷移金属や非遷移金属を含む錯体水素化物には、燃料電池や全固体電池など多様なエネルギーデバイス・システムの社会普及を目指す高密度水素貯蔵や高速イオン伝導などの優れたエネルギー関連機能が隠されている。本研究成果により、錯体水素化物の材料物性を体系的に理解することが可能となり、高い潜在性を持ちながらも機能材料としての認識が限定的であった錯体水素化物の学術的・社会的価値を高めることに貢献した。