細胞表面の糖鎖の特異的認識能を理解することは、未だ不明な点が多く残されている細胞表面の糖鎖役割を理解するうえで重要である。細胞がガン転移すると細胞表面の糖鎖が変化し、悪性化が進むと、転移性の高いガン細胞では、正常時にはわずかしか発現していない巨大糖鎖の量が増えることが明らかとなってきた。生きた状態の細胞を観測し、細胞表面の糖鎖の分子認識過程を界面選択的な振動分光法の確立させることは、将来分子レベルで構造解析を可能とする。細胞のガン転移に対するメカニズムを細胞表面・界面の構造変化から明らかにしていくことは、生物分野のみならず医学の分野においても多いに有用で意義ある研究となる。
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