生物界全体におけるKaiタンパク質の分布は、シアノバクテリアと一部の細菌に限られ、植物は異なる時計システムを有する。植物の葉緑体の起源は、シアノバクテリアの祖先生物の細胞内共生によると提唱されているが、内部共生過程においてKai時計システムが欠落したことを示唆している。本研究により、Kaiタンパク質は異生物内においても機能的に働くことが明らかになった。つまり、何らかのホスト生物自身が有する固有のシステムと、Kai時計システムが和合できない理由があると考えられた。また、時計タンパク質のホモログは、時計としての機能はもたず、時計機能を補助する役割をもち、進化の過程で多様性が生じたことが示唆された。
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