研究課題
昨年度の研究成果により、モミ米を摂取したニワトリでは小腸でのIgAの産生応答が減弱化することが判明した。しかし、このIgAの産生応答の減弱化を引き起こす要因は不明であった。そこで本年度は、トウモロコシ、玄米、モミ米を主体とした3種類の飼料をニワトリに摂取させ、腸管IgA産生応答の増強効果を持つ有機酸の腸管内容物中濃度と腸内細菌数を調査した。結果の概要を以下に示す。(1) ニワトリヒナに1週齢から11週齢までトウモロコシ飼料、玄米飼料、あるいはモミ米飼料(650 g/kg添加)を自由摂取させた。11週齢時に血液、胆汁、腸管組織、盲腸内容物を採取した。腸管IgA産生の指標となる胆汁のIgA濃度はトウモロコシ群に比べ、玄米群とモミ米群で約1/2に減少した。(2) 盲腸内容物中の有機酸濃度をイオン排除高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、総有機酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、乳酸)濃度には有意な差はなかったが、モミ米群(19.8 mmol/kg)ではトウモロコシ群(56.9 mmol/kg)と玄米群(53.3 mmol/kg)の約1/3に減少した。(3) 盲腸内容物から細菌DNAを抽出し、総細菌数をリアルタイムPCR法で測定したところ、盲腸内容物中の単位重量当たりの総細菌数も有機酸と同様の傾向で変化し、モミ米群が最も低値であった。以上より、モミ米だけでなく玄米の摂取でも腸管IgA産生が減少することが判明した。モミ米摂取による腸管IgA産生レベルの低下は腸内細菌数の低下と発酵産物の減少、さらにはムチン産生の増強による代償的な減少によるものと推察された。
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Poult. Sci.
巻: 97 ページ: 3577-3586
doi.org/10.3382/ps/pey202