食物に含まれる様々な化学物質を感知する味覚受容体は、卵巣など口腔内以外の様々な組織にも発現している。このことから、味覚感知以外の生理機能を持つ可能性が考えられているが、その多くは不明である。本研究では、味覚受容体変異メダカから生まれた受精卵に発生異常がみられた現象について、生殖・発生における味覚受容体の機能的役割を明らかにすることを目的に研究を行った。その結果、当該の発生異常は、味覚受容体変異を持っていた親メスメダカが原因で起こったもので、そのメダカでは、味覚受容体タンパク質の味物質結合領域で折りたたみ不全が起こり、受容体機能が大幅に減弱していたと考えられることが明らかとなった。
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