胃(上部消化管)や結腸直腸(下部消化管)への伸展刺激が、脳内の分界条床核においてノルアドレナリン遊離を促進することを明らかにした。我々は、これまでに、分界条床核内ノルアドレナリン神経情報伝達亢進が不安・嫌悪を惹起することを報告しており、消化管への刺激が分界条床核内ノルアドレナリン神経情報伝達亢進を介して不安・嫌悪を惹起することが考えられる。一方、分界条床核へのβアドレナリン受容体作動薬投与が、上部消化管運動を抑制する一方、下部消化管運動は促進することを明らかにした。不安やストレスが分界条床核内ノルアドレナリン神経情報伝達亢進を介して、胃もたれや下痢などの消化管障害を惹起することが考えられる。
|