自然免疫細胞は初期の感染に応じて性質が変化し、次の感染に対する応答が変化することが示唆されている。本研究では、胎児期における自然免疫活性化が子孫の免疫系成立に及ぼす影響について調べた結果、ウイルスRNAを投与した妊娠マウスの仔の自然免疫細胞では細菌成分LPSによる炎症性応答が低下する寛容傾向にあることを見出した。このことは胎児期での自然免疫活性化がその後の免疫応答の方向性を規定することを示唆している。また、脱メチル化酵素TET-1やV型ATPase複合体の構成因子がLPSに対する自然免疫応答を負に制御している可能性を見出し、これらが免疫寛容の維持に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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