血痕検査は犯最も重要な法医学的物体検査である。血痕検査の主目的は個人識別(DNA鑑定)にある。血痕予備試験にはロイコマラカイトグリーン法、ルミノール法が用いられるが、これらには①非特異的反応がみられる②試薬の調整が必要である③試薬によりDNAが分解されてしまう等の難点がある。最大の難点は、微量な試料の場合予備試験を行うとその後のDNA鑑定ができない点である。ラマン分光法は、非破壊、非接触で分析することができ、この難点の克服が可能である。また、ポータブルラマン分光器が普及し始め、屋外などでの測定も可能となっており、DNA検査前のスクリーニング検査法として法医鑑識活動に非常に有用である。
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