研究課題/領域番号 |
17K20050
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
小達 恒夫 国立極地研究所, 研究教育系, 教授 (60224250)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 海洋生態 / Antarctic Ocean / Sea ice biota / Micro habitats / Alternative pathway |
研究成果の概要 |
南極海で海氷が生成される主要な場所は、大陸氷床上から吹く極めて寒冷な風(カタバ風)にさらされる大陸沿岸海域と考えられている。カタバ風の強度は、沿岸海洋における混合強度に影響を与える。本研究では、混合強度を変えて、海氷生成実験を行った。なお、実験に用いたろ過海水には南極海季節海氷域で優占する植物プランクトン株を添加した。生成された海氷中のクロロフィルa濃度を測定したところ、混合強度が強いほど海氷中に取り込まれる植物プランクトン量が高くなる傾向があった。この結果は、南極海の現場においても、カタバ風の強い海域ほど大量の植物プランクトンが生成される海氷に取り込まれている可能性を示唆する。
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自由記述の分野 |
生物海洋学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、今後の南極海における炭素循環や食物連鎖の研究に新たな道筋を提案することができた。冬季に南極大陸沿岸で生成した海氷は、数か月かけて沖合の低緯度側へ運ばれ、夏を迎えると融解する。そこで海氷内のマイクロハビタットは崩壊し、生物相は海洋表層へ放出されることになる。一般に海洋生態系における一次有機物は、現場の植物プランクトンの光合成によって生産されると考えられている。南極海季節海氷域においては、現場の一次生産に加え、海氷によって輸送される有機物の放出が、食物連鎖に加わっているものと推察される。今後の研究では、こうした別経路の有機物供給の貢献度を明らかにする必要がある。
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