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2020 年度 実施状況報告書

アーミッシュと主流社会の相関関係研究を通じたアーミッシュ概念の再構築

研究課題

研究課題/領域番号 17KK0020
研究機関埼玉大学

研究代表者

野村 奈央  埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (10709588)

研究期間 (年度) 2018 – 2021
キーワード地域研究 / 物質文化 / 消費文化 / 民族誌 / 再洗礼派 / アーミッシュ
研究実績の概要

新型コロナウィルス感染拡大の影響により、現地調査の実施が不可能だった昨年度は、これまでに入手した一次資料の分析および論文執筆、本研究の成果を一般社会と共有するために構築を目指しているオンラインのフレームワークの精査を中心に研究をすすめた。特に、オンラインでの公開を目指す資料については、昨年度に引き続き、ネブラスカ大学国際キルト研究所マリン・ハンソン氏(博物館学/デジタルヒューマニティーズ)の助言を仰ぎながら、類似するサイトのデザインや構成を調査し、ウェブデザイナーと意見交換を行った。コロナ禍において、コンピューターを使用しないアーミッシュからの聞き取り調査は困難な状況であるが、引き続き、手紙で近況報告および情報収集した。その結果、アーミッシュが新型コロナウィルス感染拡大の状況をどのように受け止めているか、また生活にどのような影響があったか、限定的ではあるが確認することができた。今後、さらなる調査が必要であるが、手紙の文面からは、他の保守派キリスト教徒と同様に、新型コロナウィルスが一部の人間による捏造だと考えている様子がうかがえた。当初は政府の規制に従っていたものの、マスクを着用せずに200人規模の礼拝や400~500人規模の結婚式の実施するなど、秋以降は通常通りの生活様式に戻ったことも分かった。しかしながら、大型商業施設等へ出かける際には、マスクを着用していることから、主流アメリカ社会と自らのコミュニティの境界線を明確に認識し、また、その境界を自由に往来していることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

本研究の3年目にあたる2020年度は、昨年度から実施してきた共同研究を継続するべく、渡航の準備をすすめてきたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、現地調査を断念せざるを得なかった。具体的には、昨年度末から本年度始め(2020年3月中旬から4月上旬)に予定していた渡航で、教区立学校や服飾関連の家内産業、建設産業に関する調査および、夏に実施予定だった現地調査の聞き取り対象者および質問項目を特定し、さらに、アメリカ大統領選直前の8月から9月にかけて、アーミッシュ・コミュニティにおける政治思想について現地調査を実施する予定だった。当初は、夏までには渡航が再開できるとの望みを持ち、オンラインで入手できる大統領選とアーミッシュに関するニュース等の資料収集につとめた。また、これまでの調査で、ペンシルバニア州メノナイト歴史協会やエリザベスタウン大学図書館アーカイヴで入手した一次資料を継続して分析している。また、一昨年度の研究交流をきっかけに、前述したハンソン氏が所属する国際キルト研究所の博物館での展示の研究調査に参加し、展示カタログに論考を発表した。本展示からは、日本におけるアーミッシュ文化の受容という、新たな研究テーマの着想を得ることができた。しかし、コロナ禍の影響による研究の停滞は否めない。依然として渡航の見通しはたっていないが、再度本事業の延長が許可されることを願いたい。

今後の研究の推進方策

長引く新型コロナウィルス感染拡大の影響で、今後の調査の見通しがたたず、苦慮している。本研究の特色は、これまでに築いてきたアーミッシュ・コミュニティでのネットワークを利用し、アーミッシュの生活に溶け込んでフィールドノートを作成する参与観察を手法として採用していることである。共同研究者が在籍する研究所や大学でも、未曾有のパンデミックに対する対応に追われ、十分にコミュニケーションを取ることができなかった。改めて共同研究者とも情報共有をしながら、本研究を遂行するための対策を検討していく。したがって、当面は、これまでに入手した一次資料の分析および論文執筆、本研究の成果を一般社会と共有するためのオンラインのプラットフォームの基盤構築を目指し、研究をすすめていく。現地調査の代替としては、引き続き手紙でお互いの近況報告をし、可能な限り情報収集をしていきたい。コミュニティを尊重し、個人的な意見を主張することが少ないアーミッシュとは、直接対話をし、会話の行間から見えてくる微妙な情報を得ることが重要であることを改めて実感している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 図書 (1件)

  • [図書] Abstract Design in American Quilts at 50 ("Journey to Japan")2021

    • 著者名/発表者名
      Marin F. Hanson and Nao Nomura
    • 総ページ数
      178 (62-73)
    • 出版者
      International Quilt Study Center & Museum

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公開日: 2021-12-27  

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