本国際共同研究は、基課題研究「先史時代人はどのようにビジュアライズされるのか: 日本列島を例として」(課題番号: 17K01208、2017-20年度)に欧州考古学史、日本の近現代思想史、メディア史との接点を見出し、それによって広がる論点をもとに、1)基課題研究を日本の考古学・博物館学の「内省的転回」を加速させる研究として昇華させる、2)国際日本学の中に考古学と近現代思想史の関係を考究する分野を確立すること、この二つを目指している。そのために、A) 欧州・日本考古学についての共同研究、B) 日本の視覚メディアについての共同研究、C)日本の近現代思想史・社会運動史についての共同研究を進める。 2023年度は各国の渡航制限が解除されパンデミック前の状況に回復し、海外共同研究者(セインズベリー日本藝術研究所)との研究打ち合わせのために短期間の渡航・滞在を行うことができた。本年度は上記の研究の方向性1)、2)に関する論考を計3件発表することができた。 研究期間全体を通じては、A) 欧州・日本考古学についての共同研究に関して、先史時代イメージの相互の影響関係を確認することができた。C)日本の近現代思想史・社会運動史についての共同研究に関して、考古学黎明期の進化論受容と先史時代イメージの関係を確認することができた。B) 日本の視覚メディアについての共同研究に関しては、多少の立ち遅れがあったが、今後の検討のみとおしを得ることができた。研究期間中、これらの理解を和文・英文論文および国際学会発表に反映させ、1)基課題研究を日本の考古学・博物館学の「内省的転回」を加速させる研究として昇華させる、2)国際日本学の中に考古学と近現代思想史の関係を考究する分野を確立するという二つの目的に対し、一定の成果を得ることができた。
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