研究課題/領域番号 |
17KK0058
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
伊藤 秀和 関西学院大学, 商学部, 教授 (30368451)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2020
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キーワード | 貨物流動 / 船舶動静 / 地域経済 / 空間経済学 / 経済地理学 / 定量分析 / 空間統計 / 国際比較 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、大規模データベースを用いた貨物流動構造と都市・地域の経済的・地理的特性、およびその時系列変化の関係性分析である。 本年度は、大きく2つのことを行った。1)昨年度の進捗成果を国際学会で報告し、同論文をオンライン・ジャーナルに掲載した。2)同種のデータを用いて、海上貨物輸送構造の時系列変化を詳細に検討した。具体的には、1977年から2016年までの40年間のコンテナ船の寄港情報およびその船舶情報、さらに港湾都市の人口、港湾立地状況等のデータから、相互の貿易量を推計する重力モデルを用いて、コンテナ輸送における海上輸送距離の影響やその時系列変化を明らかにした。コンテナ輸送におけるハブ・アンド・スポークの進展や世界各地でのコンテナ・ターミナルの整備によって、輸送距離の抵抗は拡大、すなわち(他の条件が同じであれば)遠くの港湾都市との貿易量は減少することが明らかとなった。この成果を論文にまとめ、国際学術雑誌に投稿し、掲載が決定した。 さらに、上記の分析をコンテナ船以外の全船舶に拡張し、さらに重力モデルの改良を行うことで、輸送距離の影響だけでなく、互いの港湾都市の人口規模の影響や相対的な人口差異(経済規模の違い)の影響をも詳細に検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年6月に開催された国際海運経済学会での報告論文をオンライン・ジャーナルに掲載した。また成果論文の1つが、査読付き国際学術雑誌に掲載決定した。加えて、後者の論文(コンテナ船のみを対象)の実証計量分析を発展させた内容(コンテナ船を含め全6種類の船舶を対象)を纏め、国際学術雑誌への投稿を準備している。
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今後の研究の推進方策 |
2020年3月より約1年間、フランス・パリで国際共同研究を行う予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、(出発直前に)入国禁止措置が取られ、また渡航先機関より当分の間、新規のビザ発給(受け入れ協定書)は停止されるとの連絡があった。感染拡大・収束状況を踏まえ、渡航時期・滞在期間について、改めて検討が必要となった。 なお、本研究課題については、海外共同研究者らと、電子メール・オンライン会議等を用いて、これまでと同等の研究実施体制は維持されている。1880年代以降の長期データを用いた実証分析実施のため(これまでは1977年以降データで分析)、引き続き資料の電子化も進める。
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