1)たんぱく質へのPEG化 抗原性たんぱく質として分子量130k(4量体)のuricase(from Candida sp)、asparaginase(Native E. coli L-Asparaginase protein)、非抗原性たんぱく質としてmouse albuminへ新たなPEG化法を行った。第一に、たんぱく質末端アミノ基へのS-アセチル基の導入の最適化を行い、S-アセチル基の導入数によってPEG化導入数を制御した。第二に、PEG-ポリアニオンブロックコポリマー(PEG-P(Asp))末端のアミノ基へチオール反応性基の導入を行った。末端活性化導入率は80%程度と概ね良好であった。両者の反応をPEG過剰量の条件の下で行った。反応の進行はGPCの測定によって確認された。一方、合成時に用いた過剰のPEG、またはPEG-P(Asp)は分画分子量100kの遠心限外ろ過洗浄によって除き、完全に除去されたことをGPC測定によって確認した。 2)PEG化たんぱく質の解析 PEG化されたたんぱく質のPEGに対する解析は1H NMR、GPCを用いて行った。たんぱく質自身の吸収波長(280nm)を検量線として、たんぱく質の濃度を決定した。次に、溶液中のPEG濃度を1H NMRによって同定した。これによりPEG、及びPEG-P(Asp)の各鎖長のたんぱく質のPEG化度を算出した。この結果、たんぱく質へのPEG化はPEGとP(Asp)鎖長が短いPEG-P(Asp)の場合に、十分高いPEG化数を示したが、P(Asp)鎖長が長くなるにつれ、PEG化導入数は低くなった。しかしながら、PEG化数が少なくとも、GPC解析においては安定性が十分にあることが示唆されており、PEG化数を制御しやすいPEG化によって、PEG化数と免疫応答との関係を見出す予定である。
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