研究課題
平成30年度までの研究において、マウスメラノーマ細胞をマウスに移植し形成させた腫瘍に対して、不活性化センダイウイルス粒子(HVJ-E)を腫瘍内投与することで抗腫瘍効果が得られることがわかった。さらに、HVJ-Eに感受性の腫瘍では、脾臓に存在するCD8陽性、CD4陽性T細胞のいずれにおいても遺伝子発現が全体的に変化するが、HVJ-Eに不応の腫瘍では、そのようなT細胞での遺伝子発現の変化は認められなかった。このことから、HVJ-Eの腫瘍内投与で腫瘍増殖が抑制される場合、全身性のT細胞を活性化させることが示唆された。T細胞は活性化するとクローン性増殖することが知られている。クローン性増殖はT細胞受容体(TCR)を解析することで明らかにできる。平成30年度までの研究において、簡便にTCRβのライブラリーを作製する手法を確立した。令和1年度においては、このTCRβ解析のためのライブラリー作製法をさらに改良し、腫瘍から回収できる極少数のT細胞を用いてライブラリーを作製する手法を開発した。この手法を用いることで、腫瘍内浸潤T細胞をフローサイトメーターで回収し、TCRβ解析ライブラリーを作製することができた。現在、このライブラリーを次世代シークエンスにより解読し、データの解析を進めているところである。同時に、腫瘍内浸潤T細胞からRNAseqのライブラリーを作製した。腫瘍内浸潤T細胞は極めて数が少ないため、通常のRNAseqライブラリー作製法ではライブラリーが作製できない。また、回収できる細胞の数が数千個であり、シングルセルRNAseqで行うには多い。そこで、シングルセルRNAseqのキットを用いて、数千個の細胞からライブラリーを作製する方法を確立した。得られたライブラリーは現在、次世代シークエンスにより解析しているところである。
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