本研究は、米州開発銀行(IDB: Inter-American Development Bank)、アフリカ開発銀行(AfDB: African Development Bank)、アジア開発銀行(ADB: Asian Development Bank)、欧州復興開発銀行(EBRD: European Bank for Reconstruction and Development)の4大地域開発銀行を取り上げ、紛争への取り組みを体系的に明らかにしようとするものである。2017年度には3回の海外出張による調査を実施することができた。まずアメリカ・ワシントンのIDB本部を訪問し、聞き取り調査を行った。これによりIDBにおける紛争への政策が都市における暴力問題とともに扱われていること、国別のプログラムにおいて紛争関連が含まれている可能性があり、今後の調査の課題であることがわかった。さらにコートジボワール・アビジャンのAfDB本部を訪問し聞き取り調査を実施した。AfDBは戦略文書を採択するなど脆弱国家への対応が組織的になされている点が確認できた。そしてイギリス・ロンドンのEBRD本部にて聞き取り調査を行った。EBRDでは特に紛争関連の戦略・プログラムはないとのことであったが、難民対策関連では紛争に関連したものがあることがわかった。また国別のプログラムの中にも一部で紛争関連のものがみられることがわかった。
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