研究概要 |
(1)釣藤鈎および牡丹皮には、in vitroおよびin vivoにおいてAβ蛋白の凝集を制御することが確認され、さらに、牡丹皮は細胞毒性作用を有するとされるAβオリゴマー(4量体および8量体)を減少させることが確認された。牡丹皮の有効成分が1,2,3,4,6-penta-O-galloyl-β-D-glucopyranose(PGG)であることが示唆された。また、このPGGは経口投与においても有効であることが示唆された。PGGはまたアルツハイマー病モデル動物の認知機能を改善した。これらの有効性はPGG以外の成分には認められなかった。さらに、これらの生薬およびPGGはアルツハイマー病モデル動物において、死亡率増加、体重、肝機能、腎機能、電解質バランスなど重篤な有害事象は認められず、安全性の面からも問題はないと考えられた。これらのことからPGGはAβ蛋白を指標としたアルツハイマー病disease-modifying drugの創薬研究において重要なリード化合物になりえることが示唆された。 (2)神経疾患に有効であるとされる生薬でその化学構造式のわかっている生理活性物質78種について、アミロイド蛋白凝集抑制作用および脱重合作用に対する一次スクリーニングをThioflavinT法を用いて行ったところ、黄ごん、黄連、大黄、紫根などの生理活性物質にその活性が認められた。PGGと同様、その安全性や小動物における有効性を検討している。
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