研究概要 |
シリコンMOSデバイスのスケーリング限界を打開し, 小数電子・小数光子を使って高度な知能情報処理を室温且つ高エネルギー効率で実現するために, 半導体量子ドットや金属ナノドットを活用してMOSデバイスの機能レベルでの進化を目指した研究を実施する. 具体的には, 電子系のエネルギー離散化に極めて有効な量子ドットとみなせるシリコン-ゲルマニウム(Si-Ge)系ナノ結晶(Geあるいはシリサイドをコアに持つSiナノ結晶を含む)と電子系に対する深い閉じ込めポテンシャル井戸が実現できる金属シリサイドドットに着目し, 価電子制御したSi-Ge系量子ドットや, 熱的に安定でかつ仕事関数がSiミッドギャップ付近にあるNiシリサイドのナノドットを極薄酸化層で隔てて高密度に立体集積した構造おいて, 孤立量子ドットにない三次元結合ドット系固有の物性・機能を探索する. これによって, 既存のシリコンULSI技術と整合する新材料(特異な非線形誘電応答, 多段階電荷輸送特性を示す材料)の創成を目指すと共に, このSi-Ge系量子ドットの高密度アレーと金属シリサイドナノドットの高密度アレーを複合集積した構造をMOSデバイスの要となるゲート絶縁膜スタック内にフローティングゲート(FG)として組み込んで, 室温・低電圧において光入力・多値動作する機能メモリ・デバイスの研究に取り組む. 特に, Si-Ge系半導体量子ドットと金属シリサイドナノドットをそれぞれ, 多段階電荷注入・放出のための制御ノードと電荷蓄積ノードとに機能分担した複合FG構造に注力し, 高信頼・多値動作の実現を目指す. 更に, 内部光電効果によって誘起する複合FG構造中の電荷移動・再分布を利用して, 光子信号で多値動作する光電融合デバイスの可能性を探求する.
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