研究課題
基盤研究(A)
本研究は、中国とロシアの国境地域にかかわるインタラクションを契機として始まったユーラシア地域秩序の新形成の実態と拡大および深化を包括的に分析するとともに、また主としてユーラシア地域が隣接するアジア地域と国境を軸に相互依存を深め、新しい地域空間を形成し始めているのではないかとする仮説を総合的に検証する。冷戦終結後、ユーラシアとアジアの間の地域形成の主導的役割を果たしてきた一つは疑いなくロシアと中国の相互関係である。従って、この相互関係を軸に、インド・パキスタン・イラン・アフガニスタン・モンゴル・朝鮮半島・日本へと分析のスケールを拡大し、ユーラシア空間とその隣接地域を実体的かつ構造的に分析することが、本研究の主要目的である。研究目的の柱の2つ目は、この検証を単なる地域内の分析に終わらせないという点である。「ユーラシア秩序の新形成」という申請テーマの含意は、国境を越えたユーラシア秩序の形成が世界秩序の新たな変容とどう結びついているのか、その連関を明らかにしたいということにある。日本の国境地域の動向もその例外ではない。本研究は世界の動向をふまえつつ、北海道、九州・沖縄などの国境(主に島嶼)の自立化の試みを新たな地域秩序形成の流れにおき、ユーラシア・アジア、そして世界における日本の位置も再考する。さらに本研究はアカデミックな手法にこだわり、徹底的に客観的な分析を追求しつつも、その成果を実際の政策に貢献できるようアドボカシーについても積極的に推進する。主としてこれに関しては、直接の研究対象であるモスクワや北京(さらに広がりをもたせて中央アジア諸国の首都、デリー、イスラマバード、テヘランなど)に対するものも念頭に置くが、本研究が日本の研究者を糾合して行われること並びに世界秩序形成におけるインパクトを勘案し、東京およびワシントンへのそれをとくにターゲットとする。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (2件)
講座スラブ・ユーラシア学1 開かれた地域研究へ : 中域圏と地球化(家田修)(講談社)
ページ: 197-220
Japan's Silk Road Diplomacy : Paving the Road Ahead, (Central Asia-Caucasus Institute & Silk Road Studies Program)
ページ: 69-85