非線形拡散場の中での構造や、形態の生成保存を解明することを目的とし、具体的には結晶成長の記述に関わる微分方程式や回転場内の流体力学の方程式について数学解析を行う。代表的課題をまとめると次のとおり (i) 結晶成長問題について (a) 円柱形の結晶の平らな面(ファセット)が分裂した後の解が外場を既知として時間局所的に具体的に構成する。 (b) 特異拡散方程式に対して、駆動力が非一様な場合に粘性解の理論を構成する。 (c) 曲率を考慮しない結晶成長モデル式であるハミルトン・ヤコビ方程式に対して、その時間無限大での挙動を明らかにし、それを証明する。 (ii)回転場内のナヴィエ・ストークス方程式について (d) (初期値問題に対して)回転の速さによらない時間区間での時間局所的古典解の存在。 (e) 回転の速さによらず、レイノルズ数が小さいときの時間大域古典解の存在。 (f) 概周期関数を初期値としたときの概周期性の保存と大きな回転数の場合の時の古典解の存在。 その他、(i)、(ii)の両方に関係のある自由境界問題等も計画していた。また、ナヴィエ・ストークス方程式や曲率流方程式の解の数学解析についての基礎について、研究書の出版を目指している。 以上の研究計画を実現するために、関連研究者の招聘やまた、海外も含めていくつかの研究集会を開催する。
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