研究概要 |
1.人体ロボットシミュレータの血管拡張(全身動脈モデルの構築) 血管内治療の対象となる全身の血管構造を再現するべく,脳血管末梢領域,冠状動脈領域,上肢動脈領域,下肢動脈領域について,新たに血管情報の取得(64列CT装置による心電同期撮影に基づく)し,立体モデル化のための3次元造形データの生成を実施した.特に,脳血管領域については,中大脳動脈M2領域を含む末梢血管のモデル化と,人体ロボットシミュレータへの組み込みを実施し,手術戦略検討のための環境を構築した. 2.光弾性法による応力解析系の構築 手術シミュレーション中に血管立体モデルの壁部に掛かる応力を定量計測するための光弾性手法の検討と,基礎実験を実施した.具体的には,血管モデル周縁部の応力を,透過型円偏光法により定量計測するための理論と光学系を設計し,実験を通じてその有効性を確認するとともに解析精度の評価を行った.また,解析範囲を周縁部からモデル表面全体に拡張するため,反射型RGB光弾性法に基づく解析理論と光学系を考案し,基礎実験を通じてその有効性を確認した. 3.術中血管撮影(IVR)の再現 手術中に術野観察に用いられるX線撮影環境(IVR)を,拡張現実感システムにより再現するための手法を考案し,提案手法の有効性を確認した.具体的には,手術シミュレーション中の血管モデル映像に各種の画像処理を施すことによって,術中のX線映像を再現するための光学観察系・画像処理系・インタフェース系の設計を実施した. 4.新血管内治療デバイスの検討 径血管的アプローチにより諸血管疾患を治療するための生分解性人工血管スキャホールドについて検討し,デバイスの試作を行った.そして,同血管スキャホールド製作のための加工法として犠牲層ディップコーティング法を確立し,デバイスの製作を行うとともに,細胞培養実験によりデバイスの生体適合性を確認した.
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