研究分担者 |
山下 洋 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 教授 (60346038)
笠井 亮秀 京都大学, 農学研究科, 助教授 (80263127)
中山 耕至 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助手 (50324661)
白山 義久 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 教授 (60171055)
深見 裕伸 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助手 (50402756)
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研究概要 |
18年度は17年度から18年度にかけて月に1〜2回実施した筑後大堰直下(河口より23km)から河口域沖10kmに配置した定点において摂取した水・有機懸濁物・動物プランクトン・仔稚魚・当歳魚などを分析し,以下の知見を得た. 1)大潮・中潮・小潮などで環境諸要素を調べたところ,クロロフィルaの量は小潮時に多く,濁度とフェオ色素は大潮時に高い値を示した. 2)3〜5月に7定点においてクロロフィルa量とフェオ色素の量を測定したところ,クロロフィルa量は定点によって大きな差は見られなかったが,フェオ色素は上流の定点R3,R4で圧倒的に高い値を示した. 3)かいあし類2種,Sinocalanus (低塩分汽水種)とParacalanus parvus(沿岸性種)の体内(消化管内)に含まれるクロロフィルa量とフェオ色素を分析した結果,前者ではフェオ色素が,後者ではクロロフィルaが優占した.このことはS.sinensisはデトリタス食であることを示唆している. 4)S.sinensisの炭素安定同位体比は,底生付着硅藻類の値よりかなり高く,むしろ陸上植物に近い値を示すものも見られ,陸域起原物質との関連が示唆された. 5)スズキ稚魚の成長に伴う炭素安定同位体比は初期(数cm以下)に高く,中期(5〜10cm前後)には低下し,後期(10cm以上)には再び高い値を示し,スズキは,成長に伴い海域→汽水域・淡水域→海域と移動することが示唆された. 今年度予定していた韓国西岸河口域調査は,実施できなかった(韓国共同研究者による予備視察のみ)が,19年度には,有明海特産魚の産卵期を参考に,群山錦江河口域において春季,夏季,秋季に行う予定である.
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