研究分担者 |
山下 洋 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 教授 (60346038)
笠井 亮秀 京都大学, 農学研究科, 准教授 (80263127)
中山 耕至 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助教 (50324661)
白山 義久 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 教授 (60171055)
深見 裕伸 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助教 (50402756)
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研究概要 |
19年度には韓国西岸群山の錦江河口域において4回(4月,8月,11月,2月)の調査を実施した。調査は,有明海筑後川河口域と同様に堰の直下から海水域に至る4定点において,仔稚魚・動物性プランクトン(特にカイアシ類)・粒状有機物・水温・塩分・濁度などの採集と測定を行った。また,筑後川河口域では,春季に2ケ月と夏季には3ケ月の集中調査を実施し,主に水温や河川流量と粒状有機物や動植物プランクトンの分布との関係を調べた。得られた主な知見は以下の通りである。 1.群山河口域では有明海特産種7種のうち4種の同種または同近縁種が得られた。 2.同上における粒状有機物の分布と密度は,筑後川河口域と様相を異にした(詳しい分析は,日本側で実施中)。 3.筑後川の春季においては,水温上昇とともに低塩分汽水域の植物プランクトンの密度が上昇した。 4.筑後川の夏季においては,出水前には大潮時に高濁度・高デトリタスを示し,小潮時に低濁度かつ高植物プランクトンを示したが,出水後しばらくは明瞭な傾向が消失した。 5.淡水感潮域で産卵するエツ・アリアケヒメシラウオ・アリアケシラウオ3種のふ化仔魚のうち,前2種は滞留するのに対し,後者は流下するという対照的な挙動を示した。これには流れの強弱への反応が異なることが関係していると想定された。 6.上記3種について塩分実験を行ったところ,エツとアリアケヒメシラウオ仔魚は塩分へ適応できないのに対し,アリアケシラウオはふ化後早期から汽水や塩分域への適応がみられた。
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