研究概要 |
本研究課題では,会議のように複数参加者による合意形成型インタラクションに着目し,特に三人以上の参加者からなる多人数インタラクションにおいて交換される言語的・非言語的情報の統合に基づく巨視的会話構造モデルおよびその抽出手法の開発を目的として研究を行った.平成20年度は,最終年度であり,H18,19年度に収録した多人数会話インタラクションコーパスに基づいて各サブテーマごとに多人数インタラクションの分析とモデル化を行うとともにサブテーマ間で成果の統合を進めた.会話進行制御構造については,多人数会話インタラクションコーパス中の映像データから抽出した顔動作情報に基づいて,機械学習の手法を用いてうなずきや視線移動に相当する会話参加者の非言語的行動抽出手法を提案するとともに,機械学習の結果と人手による分析を統合したアノテーションツールを開発した. 話題遷移構造については,提案者の発話に対する聞き手応答の評価的側面に着目し,評価の正負に応じて提案者の提案展開の方向に影響を与える現象を取り上げ,聞き手反応の前向き機能,それに依拠した相互行為的な提案構成という話題構造分析を提案した. さらにサブテーマ問の知見を総合して,多人数インタラクションにおける提案単位・節単位の話題構造を前提として,聞き手の反応トークンに基づいて重要提案の同定がある程度可能なことを示した. これらの研究成果について国内学会で発表を行うとともに,LREC(2008年6月,モロッコ),LCC(2008年8月,英国)等の国際会議において論文発表を行った.
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