研究は放射性炭素加速器質量分析(AMS)を用いて中近世建築現存遺構である社寺・城郭・民家の年代判定を行い、建築年代を明らかにし、放射性炭素年代判定実用化のために必要な技術的な課題を解決し、AMS年代判定の経過を研究データとして蓄積し、研究成果を公開し、中近世現存遺構AMS年代判定の理解と認知を促進することを目的とした。2008年度は、重文滝沢本陣横山家、重文吉原家、重文吉村家、重文三木家の追加測定を行い、長野県宝池口寺薬師堂の試料採取・年代測定を行った。日本建築学会2008年度大会にて「重要文化財滝沢本陣横山家住宅の放射性炭素年代測定について」および「重要文化財旧高橋家住宅の放射性炭素年代測定について」を発表。日本文化財科学会2008年度大会にて「麦島城建築部材の放射性炭素年代測定について」を発表。日本民俗建築学会第56回研究会にて「民家の放射性炭素年代測定について」を講演発表。武蔵大学総合研究所紀要に「民家研究と年代測定-その2縦割型民家について-」が掲載。「茨城県指定有形文化財大場家住宅(大山守大場家郷士屋敷)保存修理工事報告書」に「炭素ウィグルマッチング法による大場家住宅主屋柱材の年代測定調査」が掲載。日本建築学会計画系論文集638号に「京都外縁の町家の農民住宅化-放射性炭素年代測定を用いた瀬川家住宅の再評価-」が掲載決定。研究代表者と連携研究者の打ち合わせ研究会を随時行い、研究成果を執筆、研究報告書「平成18〜20年度科学研究費補助金基盤研究(B)中近世建築遺構の放射性炭素を用いた年代判定」を作成し、文化財関係者、保存修復技術者、文化財科学および建築史・歴史研究者に配布した。
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