研究課題
研究最終年にあたる本年度は、(1)台湾における日本植民地時代の台湾史跡の検証、とりわけ植民地時代の神社遺跡や霧社事件に関する現地学術調査および歴史資料調査、(2)国際比較研究の観点からポーランド・ドイツにおける戦争記憶・植民地記憶に関する現地学術調査を実施し、(3)東京におけるとりまとめ研究会「戦争・植民地記憶プロジェクト会議」を開催することができた。台湾における現地調査は2009年6月に実施され、博物館・史跡整備等を通して戦争・植民地記憶の保存・公開を図るいくつかの典型例を調査した。具体的には植民地時代に建設された建築物や神社遺跡、遺物、そして台湾住民による植民地支配への抵抗運動として記憶されている霧社事件に関する遺跡・遺物などである。また歴史資料(文献)調査では、台湾大学において関連資料の調査および収集を行い、同時に、現地研究者との学術研究交流を行い、台湾における戦争・植民地遺跡の保存や記憶のあり方に関する学術情報交流を行った。ポーランド・ドイツにおける現地学術調査は2009年8月に実施した。ホロコーストの歴史と記憶を被害・加害双方の立場から、その記憶の記録化と表象の特色的な在り方について相互検討を行い、その特質を解明することが目的であった。ポーランドでは、国立在オシュフィエンチムービルケナウ博物館や首都ワルシャワ蜂起博物館など被害と抵抗の場の博物館化の様相を調査し、ドイツでは首都ベルリンにおけるナチス関係遺跡の保存公開に関する実地調査を行うことができ、東アジアとの比較における今後の課題等について、新たな知見を得ることができた。
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The Divergence of Memory-The Local, National and Imperial Perspectives (Korean Studies Institute)
ページ: 113-132
白門コリア 第12号
ページ: 28-31
季刊教育法 第161号
ページ: 106-113