本研究は、豊後日田の掛屋広瀬家の先賢文庫(大分県日田市広瀬資料館)に所蔵される数万点の史料の調査・研究を通じて、近世後期の日田豪商がもつ、政治的、経済的、文化的ネットワークの形成と展開を明らかにし、近世後期から幕末維新期に至る地域的ネットワークの歴史的位置づけを試みるものである。 本年度は、前年度からの継続として、広瀬先賢文庫所蔵の目録番号30000台未整理史料の目録化を中心に作業を展開させるとともに、研究参加者各自の問題関心にあわせた史料収集・分析を行なった。 この結果、目録データは、広瀬先賢文庫内のスチールキャビネットに収められている史料に関してはほぼ目録化(番号付与、整理、目録作成、データ入力)の作業が終了した。また、2008年8月、日田市において研究会を開催しだほか、本年度は研究期間の最終年度となるため、2009年3月、研究編と目録編(別冊、535頁)からなる研究成果報告書を『東京大学史料編纂所研究成果報告書2008-2』として刊行した。 研究成果報告書の研究編には、広瀬家関係史料を素材に本研究課題に関連するテーマについて考察した9編の論文とともに、付録として、『広瀬淡窓旭荘書翰集』旭荘書翰部分人名索引(暫定版).・『広瀬淡窓旭荘書翰集』旭荘部分書翰年譜、史料紹介・史料翻刻(広瀬先賢文庫蔵書目録、諸国風説留)を収録した。
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