研究概要 |
佐久間は,外国籍児童・生徒受け入れの自治体間格差を長野県,愛知県,大阪府を中心に調査を継続している。なかでも今年度は,外国籍児童・生徒の多い長野県を取り上げ同一の県でも受け入れ施策や過年,プレスクールの設置や施策が異なることを明らかにしている。これらの地域間格差は,外国人の教育を権利として認められていないことからくる格差を物語っており,外国人の教育が義務化されていないことに伴う具体的な問題として,極めて重要な内容を含んでいる。これらの成果の一端は,入国管理協会発行の『国際人流』に「変わる外国人多住都市と求められる子どもの受け入れ施策」や明石書店の「多文化共生のコミュニティとは何か」として公表している。実松は,ボリビアの日系コミュニティの調査を継続しており,サンファンの日系市長とも連絡をとりつつ当地の沖縄コミュニティに焦点を絞って調査中である。ボリビアの日系コミュニティの実態はあまり取り上げられていないので,調査の成果が待たれる。山脇は,ペルーに帰国後の児童・生徒の学力を,滞日中の自治体の受け入れ施策と関連させながら調査を継続している。さらにイシカワ・エウニセ・アケミは,ブラジルをフィールドに,山脇と同様の問題意識のもとに,調査を継続中である。南米に帰国の児童・生徒の勉学に対する意識やその後の学校での活動は,日本でどのような学園生活を送ったかを裏側からも示しており,重要な意味を持つ。今年度は,研究の中間点のため,次年度のまとめに向け研究会を通して問題意識の共有化を積極的に行った。
|