研究課題/領域番号 |
18330131
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研究機関 | 会津大学短期大学部 |
研究代表者 |
下村 幸仁 会津大学短期大学部, 社会福祉学科, 教授 (20412942)
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研究分担者 |
金 永子 四国学院大学, 社会福祉学部, 教授 (50161550)
丹波 史紀 福島大学, 行政政策学類, 准教授 (70353068)
山田 壮志郎 岐阜経済大学, 経済学部, 講師 (90387449)
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キーワード | 社会福祉 / 貧困問題 / 比較公的扶助 / ワークフェア / 就労支援 |
研究概要 |
本研究は、生活保護制度に2005年度から導入された自立支援プログラムを利用者側の視座から権利的に捉え直すことにある。そのために自活支援策として先進的に取り組んでいる韓国の制度の実施状況を検証し、比較的に検討することに目的がある。 19年度の研究成果の一つは、韓国の自活後見機関や国民基礎生活保障法を運営する行政の保障機関等の視察・ヒアリング調査を実施した。初年度は首都ソウルと近郊都市での調査であったが、今回は寧越(ヨンウォル)と施善(ジョンソン)という農村部の地域自活センターにおいて特徴的な自活支援の実施状況について視察・ヒアリング調査を行ったことに意義がある。わが国では、福祉事務所と職業安定所との連携が漸く始まったが、ワークフェア資源が乏しい現実から就労支援の先細りが心配されるところである。韓国では、具体的かつ多様な自活支援プログラムが農村部でも準備されている。そして、自活支援に関して、「まちづくり」という貧困問題も内包した地域福祉の視点であることが重要である。また、国民基礎生活保障法から自活支援を独立させた自活支援法の制定の影響も大きい。特に、福祉事務所→自活支援チーム、自活後見機関→自活センターという変化は、対象認定と直接支援の主体変化を見せている。一方、自活支援対象が次上位層の120%〜130%へと拡大されたことは、国として貧困問題に取り組む姿勢が増したものと捉えることができる。この点はわが国の自立支援プログラムが、生活保護利用者以外へも対象拡大してきていることに知見を与えてくれるものである。 二つには、わが国の福祉事務所での就労支援プログラム実施状況調査は、H市を対象に主管課と2福祉事務所について、プログラム実施に係る困難性を中心にヒアリング調査を実施した。さらには、自立支援プログラムを利用する当事者等に対する全国調査を実施し、プログラムが実際には保護受給権を抑制するものとして運用されている実態を明らかにできたことは重要である。一方、母子世帯の母及びホームレスの自立支援に関する実態調査については、報告書として出すことができた。
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