研究概要 |
トリック多様体をモデルとするサイクル複体の研究 代数多様体に対しそのサイクル複体の概念がある.これは代数的アフィン単体をモデルとして構成される.そのホモロジー群が高次Chow群あるいはモティヴィックコホモロジーとよばれる. この定義はBlochによる.これは正しい理論をあたえるが,その基礎理論の整備のために非常に技術的な議論を重ねることが必要であった.基礎理論とは,関手性,ホモトピー不変性,localization property,代数的K理論との比較などを含む.もっとも難しいのはlocalization propertyである.この技術的な困難は,定義が素朴すぎることに原因がある.トーリック・サイクル複体の概念は定義をより洗練し,これらの基礎理論を整備することが目的である.これまでに得られた結果は以下のとおりである.(1)代数的アフィン単体の代わりにスムーズな射影的トーリック多様体をモデルとするサイクル複体を定義した.(トーリック・サイクル複体とよぶ.)(2)つぎのlocalization theoremを証明した.Zを代数多様体Xの閉集合、U=X-Zとするとき、Xのサイクル複体をZのサイクル複体で割った商複体は、Uの商複体にホモロジー同型である
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