研究概要 |
これまでの研究で,重力多体系以外に,2体緩和の存在する2次元Hamiltonian Mean Field (HMF)モデルにおいて準定常状態としてポリトロープ状態が存在することが数値シミュレーションにより示された.さらに,ポリトロープ状態が現れる条件が"比熱が負"であるという興味ある結果も得ている.本研究では,"負の比熱"および"長距離相互作用"がポリトロープ出現の条件であることを数値シミュレーションから確立することを試みた. そのため,逆説的ではあるが,近距離相互作用系の数値シミュレーションも実施した.実は,近距離相互作用系でも引力であれば,負の比熱が現れることが知られている.また,この場合にも低エネルギーの粒子が集まってできるコアと高エネルギー粒子が空間的にほぼ一様に分布するハロー,すなわちコア・ハロー構造を出現する.このとき,コアとハローがそれぞれ温度の異なるBoltzmann分布に従う,すなわち2温度状態になるということが予想されている. そこで,本研究では湯川ポテンシャルのようにカットオフを有する系での数値シミュレーションを実施した.近距離系相互作用系でも長距離系相互作用系と同じような準定常状態が存在することは発見したが,この状態がポリトロープで記述できるか否かは現在解析中である.
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