研究概要 |
宇宙あるいは天体での物理現象は,重力が本質的な役割を果たすという点で地上の物理現象と大きく異なっている.球状星団に代表される,互いに重力で相互作用するN個の質点系である重力多体系は,自己重力系の典型である.重力は(1)遠距離力である,(2)すべての物体に対して引力である,という2つの際だった特徴を持ち,Debye 遮蔽がないため本質的に長距離相互作用する系である. 申請者はこれまでの研究で,重力多体系の進化は重力の性質から非平衡になり,それはポリトロ-プ状態とよばれる準定常状態で記述できることを明らかにしてきた.ここでポリトロ-プ状態とは1粒子分布関数が q^-変形を受けた Boltzmann 分布で与えられる状態である.さらにq^-変形を受けた状態で準定常状態を記述しようとするアイデアをq^-変形パラダイムとよぶ. 本研究では重力多体系以外の長距離相互作用系に対してq^-変形パラダイムが有効性を研究し,さらにq^-変形の起源を探ることを目的とする.
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