研究概要 |
申請者らがこれまで開発したヒューマノイド・ロボットWABIAN-2に対し,実用性を考慮したロボットシステムの扱いやすさの向上のため,本年度は主に,信頼性向上のための電装系の改良等を行った.これまでの歩行実験データをもとに電線の許容電流値の再検討を行い,適正な電線に変更することで電装の軽量化を行った.この結果,ロボット全体の重量が,67.5[kg]から64.7[kg]となり2.8[kg]の軽量化に成功した. また,WABIAN-2にて擬似障害歩行動作を実現するために,障害者の歩行データ取得および解析,より柔軟な足部の軌道設定が可能となる時間1経路分離型足部軌道生成法の開発,擬似障害パターン生成アルゴリズムの開発を行った.障害者歩行データ取得のための実験では,三次元動態計測装置および床反力計により計測を行った.三次元動態計測装置では,より正確な情報を得るため下肢一関節につき2つのマーカーで計測し,全身で27のマーカーにより歩行情報を取得した.時間/経路分離型新軌道生成法では,従来の方法における時間/経路の依存関係を回避するため,経路および軌道計画を別々に設定することで経路が時間に依存しない軌道設定法を開発した.擬似障害歩行パターン生成アルゴリズムでは,ヒト歩行の模擬の際,すべてのパラメータを与えることは困難であるため,設定するべきパラメータとして足先軌道・膝関節角度・腰軌道を設定し,歩行時にバランスを保っため上体を用いる割合を最適化の対象として,Genetic Algorithmにより最適なパラメータを探索することで歩行パターンが生成される. 本年度改良されたWABIAN-2,および生成された擬似障害パターンにより,WABIAN-2による歩幅0.25[m]歩行周期0.96[s]での,体幹の動きを積極的に用いた障害者に似た歩行を実現した.
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