研究概要 |
近年の高齢者の増加と共に,肢体障害者数は年々増加する一方である.中でも下肢機能障害を抱える障害者の数は最も多く,このような障害者の自立を支援するより効果的な福祉・リハビリテーション機器の開発の必要性が近年高まっている.そこで,福祉・リハビリ機器の有効性の定量的に評価することを目指し,人間の運動を模擬可能な2足ヒューマノイド・ロボットを開発することを目的とする.最終年度に当たる平成20年度は,以下の2点について研究を推進した. 1.多様な歩行を実現可能な運動パターン生成法の開発 義足や杖などの福祉用具の評価を行なうにあたり,上半身の運動を伴う多様な歩行を実現する必要がある.しかしながら,しゃがむなどの重心が大きく変動する運動の場合,ロボットのダイナミクス特性が大きく変化するため,従来の歩行パターン生成法では厳密なロボットモデルに基づいて運動パターンを生成することが難しかった.そこで新たに歩行中の運動状態に応じて逐次,運動パターンを計算・生成するアルゴリズムを開発し,環境に応じて歩行しながら運動パターンを生成し,安定して歩行することに成功した. 2.アーチ構造を模擬した人間形足部機構の開発 従来の2足ヒューマノイド・ロボットの足部に注目すると,爪先を有するものはあったが,人間足部の大きな特徴であるアーチ構造を持ったものはなかった.そこで,アーチ構造を模擬した人間形足部機構の開発し,より人間に近い歩行に成功し,その有効性を確認した.
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