研究課題
基盤研究(B)
核融合炉の実現のため、最重要課題はトリチウム増殖ブランケットの開発である。しかし、トリチウム増殖材で生成するトリチウムが運転条件下で、どの程度保持され、どの程度残留するのか評価されていない。本研究では、トリチウム増殖材であるリチウム・タイタネートに重水素イオンを照射して重水素を捕捉させ、捕捉された重水素がどのような温度条件で脱離するかを測定した。この結果から、生成されるトリチウムがどの程度速やかに回収されるか、またどの程度インベントリーとして残るかを明らかにした。リチウム・タイタネートに室温から773Kまでの照射温度で1.7keV D^+を照射して。照射後、昇温脱離分析でD保持量とDの脱離挙動を調べた。DはLiにより捕捉され、その濃度はD/Li=0.5となった。D保持量は照射温度とともに減少し、773Kでは保持量はゼロになった。これらの結果から、ITERのテスト・ブランケット・モジュール(TBM)について、トリチウム・インベントリーを見積った。トリチウムが残存する低温度領域が存在するため、少なくても数10gのトリチウム・インベントリーがあることから、ITERの炉内トリチウム・インベントリーを増加させる可能性があることが分った。トリチウム・インベントリーを減らすためには、773K以下の領域を大きく減らす設計が必要であることを指摘した。本研究で得られた結果から、固体ブランケットからのトリチウム回収条件とトリチウム・インベントリーが明らかにできた。今回の実験では、フェライト鋼固体ブランケットを対象としたが、この手法はシリコンカーバイド複合材料固体ブランケット、バナジウム合金などの液体ブランケットに対しても適用でき、核融合炉ブランケットの設計手法の確立に大きく貢献できた。
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To appear in Journal of Plasma and Fusion Research
Proc. Of China-Japan Symposium on PWI/PFC and Fusion Technologies (NIFS Report, NIFS-PROC-76) Yellow Mountain
ページ: 42-45
Fusion Engineering and Design 83
ページ: 1173-1175