研究課題/領域番号 |
18390320
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
三辺 義雄 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (60181947)
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研究分担者 |
杉原 玄一 浜松医科大学, 子どものこころの発建研究センター, 助教 (70402261)
松崎 秀夫 大阪大学, 子どものこころの分子統御機構研究センター, 特任准教授〔常務〕 (00334970)
竹林 淳和 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (50397428)
橋本 隆紀 金沢大学, 医学系研究科, 准教授 (40249959)
菊知 充 金沢大学, 医学部附属病院, 助教 (00377384)
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キーワード | 統合失調症 / MRS / 認知機能 / 神経新生 / ペルゴライド / 二重盲検法 / 海馬 / 線条体 |
研究概要 |
【目的】統合失調症の陰性症状、認知機能障害対するD1/D2受容体作動薬であるpergolideの効果を二重盲検比較試験で検討した。【方法】7病院において倫理委員会の承認を得た上で被験者に研究の内容を文書および口頭で説明し、文書での同意を得た。臨床試験はGCPならびにヘルシンキ宣言を遵守した上で行った。選択基準は1)年齢18〜50歳の統合失調症患者、2)risperidoneを2〜6mgの一定用量で8週間以上服用中、3)陽性および陰性症状評価尺度(PANSS)の陰性症状評価尺度が15点以上、4)試験開始前4週間におけるPANSSの点数の変動が20%以内で症状が安定している者である。除外基準は1)認知機能に影響を与えると考えられる既往歴および薬物治療を受けている、2)他の精神疾患の既往歴を持つ者である。被験者に無作為にpergolideまたはプラセボを割り付けた上で8週間で投与を受ける。pergolideは開始時に250μgで1週間投与し、2週目より750μgに増量し、合計8週間の投与した。精神症状の評価にはPANSS、社会機能の評価にはクオリティ・オブ・ライフ評価尺度(QLS)を用いた。錐体外路症状、アカシジア、ディスキネジアの評価はSimpson-Angus Rating Scale for Extrapyramidal Symptoms、the Barnes Akathisia Scale、and the Abnormal Involuntary Movement Scaleを用いた。病前の推定知能指数は日本語版NART(JART)を、現在の知能指数はWAIS-R短縮版を使用して測定した。認知機能の評価は神経心理学検査バッテリー(実行機能、空間作動記憶、持続的注意、言語記憶、言語性作動記憶、言語流暢性)を用いた。【結果】pergolide群13名、プラセボ群13名中、22名の被験者が全てのプロトコルを完了した。pergolide群とプラセボ群との間で、性別の割合、年齢、教育年齢、発症年齢、罹病期間、risperidoneの用量、試験開始時でのPANSSのスコアのいずれも差はなかった。試験薬と時間の関連性について二元配置分散分析を用いた解析で、PANSSの総スコア、陽性症状スコア、陰性症状スコア、QLSスコア、神経心理学的検査のいずれに評価項目においても、pergolide群とプラセボ群の間に有意差は見られなかった。【結論】本研究では統合失調症における認知機能障害と陰性症状に対しpergolideの有効性は示されなかった。
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