研究概要 |
1. ブタの血清補体制御因子factor Iをcloningし、遺伝子配列を決定した。セリンプロテアーゼ(SP)ドメインはヒトと75%、マウスと76%、犬と60%の相同性を示した。さらに、このSP部分を膜型にし、ヒト、ブタ、犬血清で抗補体作用を調べたが、種特異性は顕著ではなかった。 2. 力ニクイザルの補体価をヒトでの方法で調べた。力ニクイサルの補体価は、C4を除き、一般にヒト補体価よりも高かった。DAFはブタ赤血球の溶血抑制率で、ヒトおよびサルの補体にほぼ同程度<17%血清で、約60-70%抑制>の補体制御機能を示した。 3. α-Galをknockout(KO)したブタ血管内皮(PEC)とnormal内皮をレクチンブロットで比較検討した。KO血管内皮では、normalに比し、GSI-B4のみならず、GSI,GSI-A4,BPL,SBAの反応が低下しており、α-GalNAcの発現の低下か、その後の糖鎖合成が進んでいると考えられた。 4. H-D抗原を作り出す、ブタのCMP-N-Acetylneuraminic Acidの遺伝子の一部を同定した。 5. PI-anchor型DAF、また膜貫通型(TM)型DAF:TM-HLA-G, modified influenza hemaggulutinin (HA) and MCP (delta-CYT fom)を構築、これらを発現するPECのlinesを作製、ヒト293細胞を標的細胞としたLac Z pseudo type assayと細胞障害試験を試行した。各TM型は、明らかに補体制御機能を示したが、TM型からのPERVは、PI-anchor型よりヒト血清に対して抵抗性を示さなかった。また、lipid raftと会合しないHA型及びMCP型ではその傾向が顕著であった。
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