本研究の目的は、妊娠による口腔内の変化とそれに影響する要因を把握し、妊娠期に適した口腔セルフケアの方法を開発し、その効果を口腔内環境の視点から判定することである。そのために、以下に示すことを4年間で行う予定である。 1.150名の妊婦を対象として妊娠初期(妊娠8〜12週)、中期(妊娠20〜24週)、末期(妊娠32〜36週)の3時点で、(1)口腔の状態、(2)生活習慣、(3)妊娠経過、(4)ストレスを測定する。測定内容は、(1)では、唾液および歯肉溝滲出液の分析、呼気中の揮発性硫黄化合物の測定、口腔乾燥の程度の測定、歯周疾患の自己評価の測定を、(2)では、食事、運動、喫煙、飲酒などを、(3)では嘔気の有無などを、(4)では日本版GHQ精神健康調査票によるストレスの評価を行う。 2.得られたデータの分析結果にもとづいて妊娠期に適したセルフケアの方法を開発する。 3.開発した口腔のセルフケアの方法を実際の母親学級などで教育し、その教育効果を口腔内環境の変化から判定する。 本年度は、得られたデータの分析結果にもとづいて妊娠期に適したセルフケアの方法を開発した。そして、開発した口腔セルフケアの方法を実際の母親学級などで教育し、妊婦の妊娠3時点でのデータ収集を開始した。
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