研究代表者はウズベキスタン共和国芸術アカデミーのジャンガル・イリヤソフ氏を共同パートナーとし、駒沢大学の古庄浩明氏、京都大学大学院の内記理氏、ウズベキスタン歴史博物館のオタベック・アリフジャノフ氏、アレクセイ・ゴリン氏の各氏が発掘調査を実施した。現地での発掘調査期間は2008年8月6日〜9月3日、それ以降はタシケントのキャラバン・サライで遺物の整理作業を行った。 2006年度には都市中央部のツィタデリ(内城)の西区、2007年度にはツィタデリの西区と東区の紀元後2世紀初期のクシャン朝のカニシカ王時代から紀元前後の層位まで発掘調査を進めてきたが、2008年度に西区と東区においてさらに下層の発掘調査を進め、この時期の都市の発展の様相の解明にさらに成果をあげた。つまり、都市全域にわたり4期(クシャン朝時代以前の都市計画→クシャン時代初期に都市プラン変更→一時的に放棄→カニシカ時代に再び整地がされ建造物建立→テパ全体が放棄される)がある蓋然性がさらに高まった。また特筆すべき成果としては、東区においてさらに掘り進めた結果、紀元前300年頃の遺構を検出するに至ったことである。層位関係、カーボン14による年代決定、土器及びレンガの寸法による編年がすべてこの年代決定を肯定する。これによってカンピール・テパは、その歴史が少なくともセレウコス朝時代にまで遡る、中央ユーラシアにおける極めて貴重な古代都市遺構であることが明瞭となった。なお多数の遺物が出土し、その図面化と研究をも進めている。
|