研究課題
ミャンマーの少数民族の生活改善に必要な食生活の向上、衣料素材の開発、水質の改善、医薬資源植物の活用を目的として、H20年度は以下のことを行い、3年間のまとめもした。1. 19年度までに強い生理活性を示したサラダジンジャーとマンゴージンジャーについて栽培地で確かめたところ、前者は後者の若い根であることが明らかとなった。次にヒト血小板凝集阻害活性物質を単離精製し、Aframodialを同定した。サラダジンジャーにおけるこの成分の含有量は湿重量あたり1.3%とマンゴージンジャーの約5.7倍であり、この作物が生活習慣病の改善に有用であることが判明した。ミャンマー産のムクナ豆のL-DOPAは生豆の1〜2%まで減少させる事が出来た。調理法の工夫により餡、餡ペースト、煮豆としての利用が期待される。2. 天然染色素材のラックから色素成分の抽出法を検討し、ミャンマー、ブータン、インドネシア産のラックの色素成分の分離分析の結果、主成分はラッカイン酸であり、その他の成分は羊毛、絹に対する染色性に影響を及ぼし、それらの組成比は産地によって異なることが明らかとなった。3. 20年度のインドージー湖の水質調査は中心部2地点で、垂直調査も行った。乾季のせいか成層は見られなかった。アオコの発生は今年度も見られ、専門家の意見より乾期湖畔を放牧に用い、雨季になって一時的に富栄養状態になるためではないかと推測される。インドージー、インレー湖とも3回観測し結果を比較した。前者は後者(中栄養湖)に比べ、汚染が進んでいず軟水であるが、これ以上環境負荷をかけないよう配慮が必要であると考えられる。4. 国内に分布する薬用植物を3年間調査した結果、108科323種について学名、現地名、薬効その他をまとめた。また、20年度から薬用植物を用いた配置薬制度を14部族、7000村で開始した。薬用ランの中で特に資源の枯渇が懸念されるセッコク類に関して、調査を行った。ミャンマーと南西中国間で類縁種が混同されている可能性が明らかとなった。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (3件)
Chem. Pharm. Bull. 56
ページ: 93
J. Nat. Prod. 71
ページ: 18-21
Biochem. Biophys. Res. Commun. 373
ページ: 429-434
日本調理科学会誌 41
ページ: 11-17
日本家政学会誌 59
ページ: 81-86