ロボット創造教育について、ロボット競技関係者、科学技術教育実践者、大学名誉教授、小中学校教諭にヒアリングを行った。その結果、断片的に行われている知識中心の科学教育、マニュアル化した技術教育のあり方に多くの方が不安と疑問を持っていることが分かった。また、科学・技術教育ではなく、科学者・技術者育成教育について検討すべきであるとの指摘も受けた。そこで、筆者は科学者・技術者の持つべき資質を、観察力、仮説力、検証力、参画力の4つに整理し、それに基づいた教育メニューを作成し、仙台青葉少年少女発明クラブ(小4から小6、20名)に対して.月1回、1年間のロボット教材を活用した教室を企画し実施した。この実践については日本機会学会robomec2007で報告する。また、目標が明確で学習評価が行いやすい教育工学的アプローチによる科学・技術教育の学習効果と必要性は筆者も認めるが、学習評価が難しい羅生門的アプローチによる科学・技術教育が軽視されていることを危惧している。科学者・技術者としての人格形成、創造性育成には羅生門的アプローチが有効であると考えるからである。羅生門的アプローチを取っていると思われる小学校の図画工作が中学校の技術教育には繋がっていかないことが残念である。図画工作を技術者教育の導入と捉えることについては積極的に検討すべきであると考える。そこで、仙台市立北六小が全校で取り組んでいるエネルギー教育の一環として、小3に筆者が開発したLED調光装置を用いた図画工作の授業を実施した。この小学校の取り組みは第1回原子力・エネルギー・環境等に関する『実践事例・指導計画』で最優秀委員会賞を受賞した。実践についてはrobomec2007で報告する。また、LED調光装置の芸術分野での可能性を追求するため、この装置を改良したものをカナダの芸術家Suzanne Squiresに提供し、2006の10月に展示会を開催し好評であった。芸術分野におけるロボット技術の活用の可能性と、芸術と技術の融合についての可能性を示せた。また、筆者がこれまでに行ってきた活動内容を内閣府が主催した「ロボット創造工学シンポジウム」(2007年3月)で報告を行った。さらに、創造性を重視したロボット教材の開発については、メカトロで遊ぶ会、サンハヤト(株)、NECエレクトロニクス(株)と協力し、筆者が開発したロボット教材「梵天丸」の改良を行っている。また、梵天丸へのプログラム書き込みは、安価に書き込み装置を提供するために、パラレルインターフェースを使用しているが、最近のパソコンではパラレルインターフェースが使用できず、USBインターフェースへ移行することへの要望が多くなり、USB書き込み装置の開発も行なっている。試作は終わり、評価に入っている。
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