研究課題/領域番号 |
18510229
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
戒能 民江 お茶の水女子大学, 生活科学部, 教授 (60233649)
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研究分担者 |
湯澤 直美 立教大学, コミュニティ福祉学部, 助教授 (50308102)
庄司 洋子 立教大学, 社会学部, 教授 (70139351)
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キーワード | 社会福祉関係 / ジェンダー / 女性に対する暴力 / 社会政策 / 家族 |
研究概要 |
本年度は外国調査(韓国)および国内調査(福岡)を実施した。韓国調査(2006年10月31日〜11月6日)では、韓国におけるDV被害者の生活再建支援政策を中心に、女性家族部、法務部、韓国女性開発院、ソウル市、警察署、韓国女性の電話連合、中央児童虐待防止センター、韓国貧困問題研究所、弁護士、研究者などへのインタビューおよび資料収集を行った。その結果、家族の多元化の承認へ向かう家族政策の基調転換にリンクしてDV法改正が行なわれていること、加害者介入のあり方については、処罰強化か更生指導かが争点となっているが、更生指導政策強化へと向かっていること、医療費の公的負担や住宅支援などは進展しているが、DV政策と母子福祉政策の連携による就労支援などの生活再建支援政策が積極的には展開していないこと、DVと児童虐待との連携がほとんど取られていないことなどが新たな知見として確認できた。警察、司法のDV問題への消極的姿勢の解決などは日本と共通の課題であるが、韓国で現在進められている加害者処罰法の動向に注目しながら、日本および台湾のDV法との比較を行なうとともに、被害女性の自立の困難の構造的要因を解明し、総合的な生活再建支援政策の検討を行なっていくことが本研究の課題となる。国内調査は、DVセンターを設置した北九州市と民間団体との連携による独自の支援政策を展開する久留米市を調査対象とした(2007年1月25日〜26日)。久留米市の被害者支援サービス「ワンストップ化」は、民間団体の問題提起を受けた福祉・男女共同参画部局の連携によって実現したが、被害者の安全と負担を考慮した行政の対応として注目すべきものである。北九州市は福祉部局が中心となって支援ネットワークを構築している。また、DV被害による精神的影響が大きく、生活保護受給から就労による自立促進の困難が浮き彫りになった。DVの特質を踏まえた総合的な自立支援政策の必要性を確認した。
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