研究課題/領域番号 |
18510229
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ジェンダー
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
戒能 民江 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (60233649)
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研究分担者 |
湯澤 直美 立教大学, コミュニティ福祉学部, 准教授 (50308102)
庄司 洋子 立教大学, 21世紀社会デザイン研究科, 教授 (70139351)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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キーワード | ドメスティック・バイオレンス / 女性に対する暴力 / 法律学 / 社会政策学 / 母子福祉研究 / 国際情報交 / 韓国・台湾 |
研究概要 |
2001年4月、「配偶者からの暴力防止および被害者の保護に関する法律」(以下、DV法と略す)が制定され、2004年および2007年に改正された。2004年改正では、都道府県にドメスティック・バイオレンス(以下、DVと略す)防止および被害者支援に関する基本計画策定が義務付けられ、さらに2007年改正では市町村にも基本計画策定が努力義務化された。いよいよ日本においてもDV防止政策がセカンドステージを迎えたことになる。しかし、DV被害を受けた女性や子どもの生活再建支援政策の具体化は容易なことではない。総合的なDV政策の検討が不可欠である。従来、DV政策に関する研究と母子家庭福祉政策研究は別個におこなわれてきたが、総合的な政策を検討するためには、それらを有機的に統合する必要がある。さらには、グローバル化の進行の下、新自由主義的な政策展開の下で労働政策や福祉政策の変容が見られるとともに、国境を越えた人の移動による新たなDV被害が生じており、東アジアという地域的な広がりの中でDV政策を検討する必要が生まれている。そこで、本研究では、韓国、台湾および日本のDV政策および母子家庭福祉政策をジェンダー視点から比較検討するとともに、日本の地方都市におけるDV政策および母子家庭福祉政策の現状と課題を検討した。その結果、私的領域で生じる暴力であるDV問題に対して、基本的には国家の介入における消極的な姿勢を維持していること、その背景には、家族イデオロギーおよび近代法イデオロギーと女性の人権との対抗関係があること、DV法の制定によりジェンダーの主流化がおこなわれたのだが、それが必ずしもジェンダー平等の実現を意味しないこと、とくに女性の経済的自立が依然として困難であること、さらに、グローバル化の進行は東アジアにおいて国際結婚の増加をもたらし、新たなDV被害を生み出していることなどを、新しい知見として得ることができた。
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